Dragon Quest 3 − Togethe −

― ふつう ―

   

イライザが仲間に加わり、出発前に買い出しに行くことになったのだが・・・

   

「今回はそんなに買う物もないからオレ一人で行ってくる。」
と一人で町に出ようとしたのだが、

「あっ、ラヴィちゃん、あたしも一緒に・・・。」
「ラヴィ、私が一緒いたしますわ。イシスでも一番の品ぞろえの店を存じてますの。」
とアリスを遮ってイライザが同行を申し出た。

イシスの町に詳しいイライザが一緒なら店を探さずに済むから助かるのだが・・・

出かける時、
「ラヴィちゃん、いってらっしゃい・・・。」
とアリスが見送りしてくれたのだが、その表情が少し落ちているのは気のせいではないだろう。

   

   

イシスの町に出て、イライザが案内してくれた店は、王室御用達の店だった。

王族であるイライザの知っている店が王室御用達なのは当たり前なのだが・・・。

王室御用達なだけに商品は高級品ばかりで、当然ながら値段もそれなりにした。
旅の途中であるオレたちの懐は高級品を買うほど暖かくない。
案内をしてくれたイライザには申し訳ないが、
「イライザ、他の店に・・・。」
「まぁ、どうしてでるの?ここでは揃いませんの?」
「そういうわけではないんだが・・・。」
イライザを促し店を出ようとした時、
「これは姫様。本日はどういったご用件で・・・。御用でしたらうちの者が城までお伺いに行きますのに。」
と奥から店主が顔を出した。
「よいのです。今日は、旅に必要な物を頂けるかしら?」
イライザがそう言うと店主は細い目を大きくして、
「おー、それではついに姫様も修行の旅に?」
「えぇ、一年ほどダーマに行って参りますわ。」
「わかりました。・・・では当店きっての品を用意させていただきます。」
「えぇ、お願いしま」
最後まで言わんとするイライザの腕を取り、店主に向かって、
「悪いが他を当たる。」
「えっ!?えっ!?」
両者から出る戸惑いの声に振り返らず、イライザを引っ張って店を出て、商店街がある方に向かって歩き出した。

   

店を探しながら歩いていると、
「ラヴィ?どうして他のお店に行きますの?あの店ではダメですの?」
王室育ちのイライザの疑問は当然だった。
「旅をするのに高級品ばかり持ち歩いていたら野盗に狙われやすい。」
移動中、モンスターだけを相手にしているわけではない。人から金品を奪う盗賊もいるのだ。
「それに旅の途中、何があるかわからない。出資金はできるだけ少なくしたい。」
旅をしていると物も消耗しやすい。
何も安ければいいってものじゃない。安く購入してもすぐに買い替えなければいけなくなるのであれば、その方が高つく。
安くて質のいいものを選ぶ必要がある。
「まぁ、お金でしたら私も少し持っていますわ。ダーマに着くまでの旅の資金はイシスが保障しますわ。」
だから心配することはないと言うイライザ。

本当にわかっているのだろうか・・・

「イライザは修行でダーマに行くんだよな?」
「えぇ、そうですわ。」
いきなり何の話かと首をかしげるイライザ。
「なんで修行しに行くんだ?」
「しきたりだからですわ。王家を継ぐ者は皆そうしてきたと。お母様も行かれたと聞きましたわ。」
「どうしてわざわざダーマに行く必要があるんだ?」
「神の下で身を清めるためですわ。」
「それなら別にダーマじゃなくてもいいんじゃないのか?イシスは太陽神を信仰しているんだろ?」
「それはそうですけど・・・」
「ダーマで修行するだけが修行じゃないんじゃないのか?」
「・・・どういうことですの?」
「イライザはイシスから出たことないんだろ?」
「え、えぇ。」
「他の国のコト、町の人の暮らし、それを知るのも修行なんじゃないのか?」

将来、イシスの女王になるのならそれらを知っておく必要がある。
それは城を出る時、旅の用意をするイライザを待つ間に女王から言われたことであった。
世間を知らないイライザに教えてやってくれと。

「まぁっ、そんなこと思いもしませんでしたわ。」
手に口をあて驚いているイライザ。
「ラヴィはすごいですわね。」
別にオレはすごくないが・・・
「では、ラヴィの言うように他のお店に行きましょう。ラヴィがよいと思うお店を教えてください。」

こうして必要な物を買いに別の店に赴いた。

   

数件まわり買う物をそろえ戻ろうとした時、
「ラヴィ、お願いがありますわ。」

イライザが突然、
「私、イシスの町を少し回ってみたいですわ。」
それはさっきの話を気にしてだろうか・・・
「私、ずっとイシスに居ますが町のこと全然知りませんわ。ですから、旅立つ前に少しでも町のこと知っておきたいですわ。」
今日、イシスを出るにはもう時間も遅いだろう。
今日旅立たないのであればイライザの願いを聞き入れても問題ないだろう。

   

   

日が傾くまでイシスの町を回って戻ったオレ達に、
「あ、おかえりなさい・・・。」
まずアリスが出迎えてくれ、
「遅かったですね。」
と少し怒り気味のイルがつづいた。
「すまない。」
遅くなってしまったことに謝ると、
「ラヴィは悪くありませんわ。私がわがままを言いましたの。」
とオレをかばうようにイライザが進み出た。
「で、こんな時間までどこ行ってたんだよ。まさかずっと買い物してたわけじゃないよな。」
カルトも少し怒っているようだ。
オレが全て話そうとすると、その前にイライザが、
「私がイシスをきちんと見ておきたいとラヴィにお願いしましたの。」
「イシスを?」
「えぇ。1年イシスを離れることが寂しくなってしまいまして・・・。」
そうだったか?
イライザのその気持ちがわかったのか、
「そっか・・・。」
と今の言葉で納得するアリス。
「でもそれならイル達も一緒に行きました。」
イルはまだ納得できていないようだ。
「ごめんなさい。買い物の途中で思いついたものですから・・・。それに私のわがままで皆さんを振り回すわけにはいきませんわ。」
「うー・・・。」
イルはまだまだ納得できないようだが、
「まっ、そういうことなら・・・出発は明日ってことで、俺は部屋に戻るわ。」
カルトも納得したのか、その場を立ち去る。
それにつづき、
「私も今日は少し歩き疲れましたから部屋で休みますわ。」
イライザも立ち去ろうとしたが振り返ると、
「ラヴィ、今日はありがとうですわ。デートみたいで楽しかったですわ。」
少し微笑んでそう言うと、今度こそ立ち去った。
「で、デート!?ラヴィさん、デートだったんですか?」
目を吊り上げるイルがオレに詰め寄る。
デートって・・・
「ただイシスの町を1周しただけだが・・・。」
「それはデートと言わないんですか?」
「言わないだろ。」
なんでイルはこんなに怒っているんだ?
「アリスちゃん、イル達も部屋に戻りましょう。」
「えっ?えっ・・・うん。」
イルに引っ張られながらアリスはオレを見て何か言いたそうにしていたが、そのままイルの後についていった。
一人残されたオレは買ってきた物を片付けながら一度だけ溜息をついた。

一体何なんだ・・・。

   

あとがき

お久しぶりです。
あまりにも久しぶりすぎてキャラが思うように動いてくれませんでしたorz
とりあえず、イライザさんが参入してきました。
アリスちゃんがんばれw

タイトルは・・・
ラヴィちゃんの回りではいろいろあるけど、ラヴィちゃんは変わらずってことで。
他に当てはまるのがなかったともいう・・・orz

次はいつUPできることやら・・・
チビの相手をしながらだとなかなか難しいですが、必ず続けるので最後までよろしく〜(○´ω`○)ノ

いっそのことラストを先に書くか?(マテ

2009.11.17

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