Dragon Quest 3 − Togethe −

― 当たらない予想 ―

   

ピラミッドで魔法の鍵を手に入れたオレ達はイシスへ戻り、
イライザの厚意でそのまま城に滞在することになった。

   

   

   

「イライザ姫、・・・ほんとにいいんですか?」
「イライザで結構ですわアリス。それにしてもよく似合っていますわ。」
その日の夜、城で勇者を歓迎する宴が行われる事になり、オレ達はイシスの民族衣装に着替えさせられた。
「そうですよ、アリスちゃん。すごく似合ってます。」
イライザと同じような薄手の、白を基調とした日に透かせば透けるのではと思われる生地のタイトなドレスを身に纏ったアリスは恥ずかしそうにしていた。
そういう仕草が男心をくすぐるのか近くにいる男達はチラチラとアリスを除き見ては頬を赤く染めていた。
そしてアリスの隣では、今回はサイズがあったのかイルもドレスアップをしている。
「今日はアリス達を歓迎する宴なのですから、楽しんでくださいな。」
イライザはそう言うとアリスの手を取って、宴の輪の中へと入っていった。

   

   

   

窓枠にもたれ酒を嗜んでいると、イルがやってきた。
「ラヴィさんはいつもお酒飲んでますよね。」
「イルは一緒に行かなかったのか?」
とアリスの方に目を向けると、イライザと共にイシスの人間と挨拶を交わしていた。
その表情は少し緊張しているように見える。
「はい。なんかイシスのお偉いさんの方達にアリスちゃんを紹介してるみたいなので・・・。そういうラヴィさんこそ、ずっとここに居ますよね。」
「中に入っていっても仕方ないだろ。」
「あははは。・・・そういえばカルトさんは?」
とずっと見てないカルトの姿を探してキョロキョロするイルに、カルトの居場所を目で指し示すと、
「あー・・・・・・カルトさんも相変わらずですね。」
と呆れた声をあげた。
同じくイシスの民族衣装を着たカルトは参加者の女性のみならず侍女達にも囲まれていた。
「カルトさん、見た目はいいから女性受けはしますよね・・・。あぁやって皆さん騙されるんですね。」

騙されるって・・・

「でもラヴィさんもすごく似合ってますよ。」
「・・・そうか?」
自分ではとてもじゃないが似合っているとは思えない。そもそも正装自体が似合うとは思えないんだが・・・。
それよりもこの民族衣装、はっきし言って動き辛い。
それもここから動かない理由の一つなのだが・・・。
「だって、ラヴィさんも女性の方に見られてますよ。」
言われてサッと見渡してみるが、オレが見ると大半が目を反らした。
「・・・気のせいだろ。」
「まぁ、ラヴィさんの場合、カルトさんと違って近寄りがたいですからね。・・・でもラヴィさんに近づく人が居たらイルが返り討ちにしますよ。」
シュッシュッとパンチの真似事をするイルに
「・・・なんでだよ。」
とつっこんでおく。

   

   

   

しばらくイルと談笑をしていると、アリスとイライザがやってきた。
「緊張したーっ。」
と一息つくアリスに労いの言葉を投げるとアリスは照れ笑いを浮かべてから、
「イル、デザート取りにいかない?」
「行きますー。」
「ラヴィちゃんも何か食べる?」
「いや、オレはいい。」
「じゃ、ちょっと行ってくるね。」
とアリスはイルとデザートがある方へと向かった。その背を見送りながら、
「イライザは行かないのか?」
と横のイライザに言うと、イライザは苦笑を浮かべながら、
「えぇ、私は・・・。」
と近くの給仕から飲み物を受け取った。
オレも新しい酒を受け取る。

「本当はもっと盛大なパーティーを開きたかったのですが急だったもので少々地味になってしまいましたが、ラヴィは楽しんでくれましたか?」
「・・・・・・あぁ、酒がうまい。」
「そうですか。ラヴィのお口に合いよかったですわ。」
そして2人、飲み物を口にする。

「アリスはほんとかわいらしいですわね。」
アリス達の方に目を向けながらそんなことを口にするイライザは、
「ラヴィはアリスの恋人ですの?」
なんでそうなる。
「違う。妹だ。」
「まぁ、そうですの?・・・ピラミッドでラヴィが真っ先に怪我をしたアリスを抱えたのでてっきり恋人同士なのかと思いましたわ。私ったら早とちりを・・・ごめんなさい。」
「・・・別に構わないが。」
事情を知らない人間が見れば、オレとアリスがそういう風に見えるのは仕方ないのだろう。
「ではあの時、怪我をしたのがアリスでなく私でもラヴィは抱えて運んでくださったのかしら?」
「・・・歩けないのならそうするしかないだろ。」
「・・・ふふふ、そうですわね。ではこの先、私が怪我をした時はラヴィが抱えてくださいな。約束ですわよ。」
イライザはそう言うと、オレを真っ直ぐに見て微笑んだ。

この先って・・・そんな事態になることはないだろう。

イライザはイシスの王女なのだからとその時はそう思ったのだが・・・。

   

   

   

翌日、ポルトガから船でダーマへ向かうことに決めたオレ達はイシスを発つ前に女王の元へ挨拶をしに行った。
「あなた方に主の加護があらんことを・・・。」
女王がオレ達に祝福を与えると、女王の横に座っていたイライザが、
「皆様にお願いがありますわ。どうかダーマまで私も連れて行って貰えませんか。」
「えっ?」
イライザの言葉に驚くオレ達。
「イシスの王族は成人を迎えるとダーマで1年間修行するしきたりになっていますの。本来ならば去年から修行に入っていなくてはならないのですが、近来、魔物が凶暴化しましてダーマへ行く事が困難になりましたわ。私が兵を連れて、城を手薄にするわけにもまいりません。そこでアリス達にお願いいたしますわ。決して足手まといにならないと誓いますわ。」
特に断わる理由もなく、女王からも直々にお願いをされ、
「えっと・・・こちらこそよろしくお願いします。」
と答えるアリス。

こうしてイライザはオレ達と共にダーマまで旅をすることになった。

   

あとがきまがい

イライザが仲間になる話なのでラブがないorz
そしてカルトの出番もない(笑。

2008.05.13

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