Dragon Quest 3 − Togethe −

― 古代王の遺産 ―

   

「ピラミッドってあれですかー?」
と砂漠の向こうに見えた三角形の遺跡をイルは指差した。
「えぇ、あそこが歴代のイシスの王族が眠るお墓。確か上の方に魔法の鍵が眠っていますわ。」
と外套のフードを後にやりながらイライザは答えた。

   

   

   

イシスにたどり着いたオレ達はキャラバンと別れてすぐに女王への謁見を果たした。
目的はイシスが所持する魔法の扉を開けることができる魔法の鍵を借りるため。

   

魔王を倒す旅をしていると告げると女王は、
「それが世界を救うのに必要だというのならば持っていきなさい。」
とあっさりと承諾してくれたのだ。
そしてピラミッドの案内役として女王の娘−−−イライザを一緒に連れて行けと。

   

オレ達の前に姿を現したイライザはドレス姿ではなく、旅の僧侶が着るような法衣に身を包んでいた。
水色の波打つ髪が特徴のイライザを見ていつものように、
「おー、さすがお姫様。ゴージャス。」
と感嘆の声を上げるカルト。
「わー、お姫様すごくキレイ。」
「はい。カルトさんじゃないですけど思わず見惚れちゃいます。」
アリスとイルもイライザに羨望の眼差しを向けていた。
イライザはありがとうと微笑んで言うと、
「私はイライザと申します。皆様をピラミッドへとご案内いたしますわ。どうか道中はイライザとお呼びくださいませ。」
「えっ?でも・・・。」
姫を呼び捨てにすることに抵抗があるのか戸惑うアリスにイライザは微笑みながら、
「ピラミッドまでとはいえ、共に旅をする者に敬称をつけるなどおかしな話ですわ。同じ年頃ですもの、仲良くいたしましょう?アリス。」
イライザに差し出された手をアリスは、
「わっ、はい。こちらこそよろしくお願いします。」
と握り返した。

   

   

   

「中はひんやりしてるんですねー。」
石造りだからだろうか、外の炎天下に比べるとピラミッドの中はイルの言うようにひんやりとしている。
これで余計な体力を奪われる心配はないだろう。
「気をつけて下さいませ。昨今のピラミッドは管理が不届き故、魔物が徘徊しておりますの。他にも侵入者避けの罠も数多くありますわ。」
イライザの案内でやってきたピラミッド内部に入るとイライザはそう言った。
「へー、罠だってよ。・・・ラヴィの腕の見せ所だな。」
とカルトはオレを肘でつっついてきた。
確かに罠解除は盗賊の技術にあるが・・・

   

「こんな大きな物を造るなんて昔の人はすごいねー。」
回りをキョロキョロしながら感心した声をあげるアリス。
「イシスを建国した初代王は民から神と崇められていたそうですわ。亡き後は神が眠るに相応しい建物として太陽に届かんばかりのピラミッドを建造したと歴史書に残っていますの。」
イライザの話では、イシスは創造神ミトラではなく、太陽神ラーを祀っているらしい。
つまりイシスの民は神と同等の王を、神の元に返そうとしてピラミッドを造ったってところか・・・。
壮大な話だな。
「一体何階まであるんだ?」と聞くカルトに、
「ピラミッドは地下は1階、地上は5階から出来ているそうですわ。」
とイライザはピラミッドの構造を大まかに説明した。

   

   

「では、さっそく参りましょう。」
と奥へ足を進めるイライザ。その横にカルトとイルがつき、
オレとアリスは後ろを歩く。
・・・いつも思うことだが、パーティの並びおかしくないか?

そして入り口から少し奥まった所、十字路の手前で、
「あっ、そうですわ。」
といきなりイライザが立ち止まった。
「どうしたんですか?」とイライザに振り返りながら足を進めるイル。
「1階の罠に落とし穴がありましたわ。」
今、思い出したとばかりに手を合わせるイライザだが、
「えっ?ひゃぁぁぁぁぁぁ。」
すでに遅く、イルの足元がパカッと開いた。
「わっ、イル!!」
イルの消えた穴の縁に駆け寄るアリス。
「イル、大丈夫かー?」
と穴に向かって声を投げるカルト。
同じように歩いていたカルトだが、端っこを歩いていたおかげで落ちるのを免れたようだ。
「まぁ、大変っ。」
と穴の縁にしゃがみ込み穴を覗くイライザ。
そして穴の中から、「イタタタタ」とかすかにイルの声がした。

オレも穴の縁にしゃがみこみ、道具袋からロープを取り出すと穴の中の垂らした。
「イル、引き上げるからしっかりとロープを掴め。」
そして中から「はい。」と返事が聞こえ、オレを手伝おうとアリスとカルトがロープに手をかけた。
「ったく、ラヴィ。なんのための盗賊だよ。落とし穴なんて罠の初歩なんだろ。」
・・・だったら先に行くな。
「そんな、ラヴィちゃんのせいじゃないよ、カルトくん。」
「そうですわ。私がもう少し早く思い出していればよかったのですわ。」
とオレをフォローするアリスとイライザ。そこへ、
「掴みましたー。」
とイルの声が聞こえ、引き上げようとロープに力を入れると、

ズズズズズン

といきなり落とし穴の蓋が閉じようとした。
・・・よく出来た落とし穴だな。

どう考えてもイルを引き上げる前に蓋が閉じるのが先だろうと判断したオレは、
「イライザ、下に繋がる道はあるか?」
「えっ?・・・えぇ、外に地下に通じる階段が・・・。」
「なら3人は外から回ってきてくれ。」
それだけを言うとオレは穴の中に身を投げ入れた。
「ラヴィちゃん!?」
アリスの声と蓋が閉じるのは同時だった。

   

   

「あれ?ラヴィさんも落ちてきたんですか?」
・・・落ちてきたというか下りてきたというか。

蓋が閉じてしまったせいで地下は真っ暗だった。
「イル、少しの間メラを唱えててくれ。その間にカンテラを出す。」
「わかりましたー。・・・めらー。」
相変わらず気の抜けた声で魔法を唱えるイル。

しかし・・・

「あれ?おかしいですね。・・・めらー。」
もう一度唱えるがメラは発動しなかった。
「最近、失敗しなくなったはずなんですが。・・・めらー」
やっぱりメラは発動しなかった。
オレはその間にもなんとかカンテラを取り出し火を灯した。

照らし出されたそこは少し広めの空間だった。
他にも部屋があるのか道が2つある。
「この後どうしますか?」と聞いてくるイルに、
「アリス達が外から来るはずだ。ここで待とう。」
どちらが外に通じる道かわからない以上、ヘタに動かないほうがいいだろう。

「この落ちてるのってなんでしょう。」
とイルは足元から何かを拾い上げた。そちらに灯りを向けると、
「・・・骨だろうな。」
「えっ?骨って、人のですか!?わぁっ。」
すぐさま手を離すイル。
おそらくピラミッドに忍び込んだ盗賊か何かのだろう。

   

   

特にすることがなく突っ立っていると、
「わっ。」
「うあっ。」
「きゃぁっ。」
と奥の方から悲鳴と落ちる音がした。
灯りを手に音のした方へイルと共に行くと、
「あっ、アリスちゃん。カルトさん。イライザさん。」
・・・なんだって3人が?
「・・・ここが地上に通じる道なのか?」
と上を見上げるが、天井に穴が開いているだけで到底上れそうにはない。
パタパタと服を叩きながら立ち上がったイライザが、
「違いますわ。外から回るよりも同じように落とし穴から落ちた方が早いと思いましたの。」
・・・早いからって落ちるなよ。

「アリスちゃん、大丈夫ですか?」
「うん、ありがとうイル。」
とイルの手を借りアリスは立とうとしたのだが、
「痛っ。」
「アリスちゃん?」
「どうした。」
立ち上がれずまたしゃがみ込むアリス。
「落ちたときに足を捻っちゃったみたい。」
そう言ってアリスは足首をさすりながら、
「ホイミ」
回復呪文を唱えたのだが、
「あれ?」
ホイミは発動しなかった。
「珍しいな。アリスちゃんがホイミを失敗するなんて。」
アリスはもう一度試してみるがやはり発動しなかった。
「そうですわ。・・・地下には魔封じの術が施されているのですわ。」
「・・・地下全体にか?」
「えぇ、そうですわ。」
だからイルのメラも発動しなかったのか。しかし、魔法が使えないとなると・・・
「アリスちゃん、歩けますか?」
「うん、大丈夫だよ。」
とアリスはイルの手を借りて立ち上がったが、やはり足が痛むみたいで顔を顰めた。
オレはカルトにカンテラを手渡すと、
「・・・ったく、無理をするな。」
痛む足で歩こうとするアリスを抱えあげた。
「えっ!?わっ!ら、ラヴィちゃん!?」
驚きの声をあげるアリス。
「ら、ラヴィちゃん、あたし、歩けるよ。」
「いいから。きちんと捕まってろ。・・・イライザ、出口はどっちだ。」
「えっ?・・・えぇ、こっちですわ。」
ボーっとしていたのか、オレの声にイライザはハッとするとオレ達を出口へ誘導した。

   

   

   

出口に向かう途中、アリスは何度も
「ラヴィちゃん、ごめんね。」
と言ってきた。
これぐらい、謝る事でもないのだが・・・。

   

あとがきまがい

イライザ登場ですw
名前の由来はキャンディキャンディから来てたりします(古
だけどうちのイライザはいじわるっこじゃありません(たぶん

おかしい。
黄金の爪ネタで書くはずだったのに・・・
そしてカルトでオチのはずだったのに・・・
おかしい。

でも、ピラミッド自体、古代王の遺産だよね?
お題には沿ってるよね?

2008.04.11

投票が終了しました。
投票してくださった皆様ありがとうございます。
ラヴィちゃんがダントツ1番でアリスと倍の票差でびっくりです。
ラヴィ、モテルな〜w
以下、各キャラからのごあいさつ。

ラヴィちゃん、1位おめでとうございます。
ラヴィ「・・・あぁ。」
ラヴィちゃんへのコメントに、
『ニブイところも魅力です! 』
『50Q拝見してますます好きになりました!』
とありますが、どうですか〜?
ラヴィ「・・・ニブイ?・・・誰がだ?」
ラヴィちゃんがでしょ?
ラヴィ「・・・盗賊が鈍いのはやばいだろ。」
いあー・・・それとは違うと思うんだけど、てかそういうところがニブイかと
ラヴィ「言っている意味がわからん。」
・・・ダメだこりゃ・・・

気をとりなおして、2位のアリスちゃんおめでとうございます。
アリス「わっ、ありがとうございます。(ぺこり)」
(コメは途中結果から増えてないので省略。)
ヒロインとしては妥当かな?
アリス「えっ?あたしがヒロインなの?(驚き)」
うん、君がヒロイン
アリス「わっ、そうなんだ・・・」
自覚なかったんかい(苦笑)

イル、3票おめでとう。
イル「はい。ありがとうございます。」
出番が少ないなりに3票はがんばった。
イル「カルトさんより上だったら票数は気にしません。」
そ、そかw

カルトくん、2票でした。
カルト「この結果、おかしいだろ。」
いあ、おかしくない。当然の結果?
カルト「ラヴィのやつ、一体どんな手を使ったんだ。」
まぁ、次がんばれ(ぽむぽむ)

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