Dragon Quest 3 − Togethe −

― 券を一枚 ―

   

すごろく場

   

一体誰が、なんの為に作ったのかわからない遊戯場。

いや、娯楽の為だろうが・・・。

ロマリアからガザーブに向かう途中ですごろく場に遭遇した時はロマリア王の趣味なのだとばかり思っていたのだが、
アッサラームの南、しかも森の中にまでロマリア王が作るとは思えない。
ここからロマリアまではかなり距離がある。
まさかロマリア王がキメラの翼を使って通ってるとも思えない。
いや、あの王ならやりかねないが、さすがに周りの重臣が黙ってはいないだろう。
この辺りにロマリア王の別荘があるというのなら、ロマリア王が作ったとしてもおかしくはないが・・・

まぁ、そんなことはどうでもいい。

   

   

   

「すごろく券?」
「うん。・・・いっぱい買い物したからお店の人がくれたの。」
アリスがひらひらと見せたのは2枚のすごろく券だった。

砂漠越えの荷物を購入した時に貰ったらしい。

「この近くにあるみたいだからみんなで行こっ。」
とアリスは満面の笑みで言った。
「せっかく貰ったんですから、使わないと勿体無いですよ。」
「すごろくの景品って結構いい物なんだよなー。」
イルとカルトは行く気満々のようだ。

   

   

   

断わる理由もないから一緒に来たわけだが・・・

「いらっしゃいませー。お一人様のみの参加となります。どなたがなさいますか?」
入るなり受付に居たちょび髭の男がそう声をかけてきた。

「誰がする?」
と全員を見渡すアリス。
「券は2枚なんですよね?」
確認するイルにカルトが、
「イルやれよ。イルの運の強さならパパッとゴールできるって。」

運が強いって、格闘場の時のボロ勝ちのことを言っているのか?

「イルがやっていいんですか?」
「イル、大丈夫?モンスターも出るみたいだけど・・・。」
そう心配するアリスにイルは、
「大丈夫ですよ。モンスターが出てきたら返り討ちにしますよ。」
と言ってトゲのムチを構えた。

だから、魔法を使え、魔法を。

   

   

   

「それでは、券を一枚頂きます。サイコロをどうぞ。」
イルは受付で券と引き換えにサイコロを受け取った。
「イル、がんばってね。」
「アイテムマス狙えよ。」
とイルに声援を送るアリスとカルト。
それにイルは手を振って、
「それじゃ、行ってきまーす。」
とサイコロを振った。

   

最初に3を出したイルは、
「ツボの中にちからのたねがありました。」
とちからのためを高く掲げて報告するイル。
「わっ、イルすごーい。」
「おー、その調子その調子。」
「じゃ、次行きまーす。えいっ」

次も3
「・・・何もないです。・・・次。」

・・・5
「タンスの中に木の帽子がありました。」
「わー、すごーい。」
「よーしよーし。」
「次、えいっ。」

・・・2
「5マス進む?」
・・・テクテク
「あっ、200Gです。」
「わわっ、おめでとうイル。」
「おー、よくやったイル!」

イルはそんな調子で、次は4を出しては3つ戻り、次に6を出してはすごろく券を手に入れと順調に進んでいた。

「次に4を出せばゴールが目前だぞ。」
と声をかけるカルトにイルは、
「4ですね。わかりました。・・・えいっ。」

コロコロ・・・5
「あー、おしいっ!」
「残念だったね。」

・・・まぁ、いくらイルが強運の持ち主だろうと、そううまくは行かないだろう。

「大丈夫です。まだまだチャンスはあります。・・・えいっ。」
とイルはまたサイコロを振った。

4・・・次は3・・・そして6を出したイルは、
「あっ、モンスターマスです。」
「イル、がんばって。」
「生き残れよ。」
「返り討ちにします。」
とトゲのムチを構えるイル。

しかし、モンスターはアッサラーム周辺に生息するあばれザル3匹。
はっきり言ってイル一人では無理だ。
というか、すごろく場にモンスター連れ込んであぶなくないのか?

   

そして案の定、
「あぅ、やられちゃいました。」
あっさりと負けたイルに、
「イル、大丈夫?」
とアリスが駆け寄り、回復呪文を施す。
「アリスちゃん、ありがとうございます。」
そこへ、
「モンスターにやられてしまわれたので、これですごろくは終了でございます。お疲れ様でした。」
と受付の男が言った。

「残念だったなー。モンスターマスに止まらなければゴールできたかもしれないのにさ。」
「ほんとですよ。あとちょっとではがねのはりせんが入った宝箱マスに止まれそうでしたのに。」

・・・手に入れても誰も装備できないだろ。

   

   

「あと1枚あるけど、どうする?」
「イル、もう一回行くか?」
とカルトは床に座り込んでるイルにそう言ったが、
「イルはもういいです。疲れました。」
「じゃぁ、カルトくんする?」
と言うアリスにカルトは、
「俺、運悪いしなー、モンスターが出るんじゃ・・・。そうだ!ラヴィやれよ。」
「・・・・・・。」
「わっ、ラヴィちゃんする?」
「・・・オレも運ないぞ。」
そう言ったんだが、
「運なんて関係ないって。ラヴィなら行ける。がんばれ。」
とカルトに無理やり背中を押された。
「お前、さっきと言ってること矛盾してるぞ。」
抵抗してみるが、力はカルトの方が上で敵わず、
「それでは、券を一枚頂きます。サイコロをどうぞー。」
と無理やりスタートマスに立たされた。

   

「おー、ラヴィがんばれよ。」
「えっと・・・、がんばってラヴィちゃん。」
「ラヴィさん、イルの敵討ちお願いします。」
「・・・・・・。」

オレは仕方なくサイコロを振った。

・・・5・・・2マス進む。調べるが何もなし。
・・・3・・・HP,MPが回復するもなにも最初から減っていない。
・・・2・・・2マス戻る。HP,MPが回復・・・しない。
・・・2・・・2マス戻る。HP,MPが・・・。
・・・5・・・サイコロが1回増えた。
・・・2・・・モンスターマス。

「わっ、ラヴィちゃん気をつけて。」
「こんなとこで終わったら許さねーぞ。」
「敵討ち御願いします。」

・・・好き勝手言うな。

モンスターは三又の槍を持った見たことのないモンスターだ。
「キキーッ」
とモンスターがなにやら呪文を唱えようとしたみたいだが発動しなかった。
チェーンクロスを振るうがさしてダメージは与えられず、次の攻撃に身構えようとしたのだが、
モンスターは突然逃げ出した。

「おー、ラッキー。」
「ラヴィちゃん、すごーい。」
「さすがラヴィさんです。」

・・・オレは何もしてないんだが。

またサイコロを振る。
・・・5・・・3マス戻る。調べるが何もなし。
・・・3・・・3マス戻る。調べると20G見つかった。・・・なんでだよ。
・・・6・・・何もなかった。
・・・2・・・1マス進む。調べるとやくそうを見つけた。
・・・3・・・3マス戻る。調べるとモンスターが出てきた。
・・・4・・・宿屋。とりあえず寝る。
・・・3・・・魔力を奪われる。元々魔力はないんだが・・・
・・・1・・・小さなメダルを見つけた。
・・・5・・・バリアゾーン。ダメージを受けた。
・・・3・・・5マス戻る。調べるとモンスターが出てきた。
・・・4・・・モンスターマス。
・・・4・・・3マス進む。調べるが何もなし。
・・・2・・・300G手に入れる。
・・・5・・・何もない。
・・・2・・・何もない。
・・・6・・・100G失った。
・・・3・・・2マス戻る。HP,MPが回復する。

そこへ、
「サイコロの回数が無くなりましたので終わりです。お疲れ様でした。」

終わったか。

   

「ラヴィちゃん、お疲れ様。」
「なんだよラヴィ、サイコロの回数無くなって終わるなんてダサいぞ。」
「知るか。」
「やっぱりはがねのはりせん手に入りませんでしたね。」
「手に入れても装備できないだろ。」
カルトとイルにそう返すとオレはアリスに両手を受け皿のようにさせると、手に入れたものを乗せた。

「何を手に入れたんですかー?」
イルとカルトが横から覗き込む、
「やくそうに・・・おー、298G!いつの間に手に入れたんだ?」
「ラヴィさん、モンスター倒してましたよ。」
「あー、そういやそうだな。」
とイルに言われカルトが納得していると、

「あれ?ラヴィちゃん、これ・・・指輪?」
と赤い石がついた指輪を見てアリスが首をかしげた。
「あぁ・・・。最初のモンスターが持ってたのを盗んだみたいだな。」
「みたいだなって・・・ラヴィ・・・。」

カルトに呆れられる筋合いはない。

「それって、祈りの指輪じゃないですか?本で見たことあります。」
「祈りの指輪って祈ると魔力が回復するやつだよね?わっ、初めて見た。キレイだね。」
とアリスは指輪をつまんだ手を高く上げた。
赤い石に光があたってキラリと光った。

   

「で、誰が持つんだ?」
とカルトが全員を見渡した。

オレとカルトは魔法を使うことがないから必要ないと思うんだが、持つなら・・・

「アリスだろ。」

「えっ!?・・・ら、ラヴィちゃん?」
驚くアリスの横でイルはうんうん頷き、
「なんでだよ。魔法使いのイルじゃないのか?」
と言いつつニヤニヤと変な笑いを浮かべるカルト。

「イルは魔法より直接攻撃することの方が多いから魔力がなくなることはないだろ。」
「そうですね。イルの魔力がなくなったことないです。」
オレの言葉にイルが同意するが、
「でもっ、あたしも魔力なくなることないよ。」
とアリスが慌てて言った。
「アリスは全員分の回復をしてるんだ。なくなったら困るだろ。だからアリスが持ってろ。」

回復はアリスしかできないのだから。

「えっと・・・いいのかな。」
と困惑するアリスに、
「アリスちゃんが持っててください。ていうかアリスちゃんが持つべきです。」
とイルが言った。
「そうそう。指輪だしな。」
とカルトが口添える。

・・・指輪とアリスとなんの関係があるんだ?

「じゃ、あたし持ってるね。」
とアリスは少し顔を赤くしながら、
「ラヴィちゃん、ありがとう。」
と言うとイルに、
「イルも魔力なくなったら言ってね。2人で使おう?」
「はい。なくなった時はお願いします。」

アリスは祈りの指輪を大事そうに袋の中にしまうと、
「そろそろ帰ろう。」

   

   

   

帰り道、アリスとイルの話声が聞こえた。
「アリスちゃん、いつか本物が貰えるといいですね。」
「わっわっわっ!?そんなことないよ。」
「大丈夫ですよ。」

何が大丈夫なんだか・・・。

2人は宿につくまでわけのわからない会話をしていた。

   

あとがきまがい

すごろくネタでがんばった。

このお題、明らかにすごろくぽかったから違うネタにしようって思ってたんだけど使っちゃいました。
なんか悔しい。

50Q書いてから、ラヴィちゃんの性格がよくわからんくなった。
困った困った・・・orz

2008.01.18

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