Dragon Quest 3 − Togethe −

― 商売第一 ―

   

「わー、人がいっぱいですねー。」
「うん。ロマリアもたくさん人いたけど、ここもすごいねー。」

   

イシスに向かう途中に立ち寄ったアッサラームの町で、
町につくなり人の多さに驚いて辺りを見渡すのはアリスとイルだった。

   

   

   

「アッサラームは、イシスとロマリアの中間地点だからなー。イシスからロマリアへ行く人とロマリアからイシスに行く人が集まる場所なんだ。だからここはいつだって人が多いんだよ。・・・おっ、美人発見!」
と同じく辺りを見渡しながら説明をしていたカルトは町の中央にある噴水付近で佇む女性に目を向けたと思うとあっと言う間に女性に近づいていった。

・・・よくもまぁ、たくさんの人が行き交う中から見つけれたな。

と美人に目がないカルトに変な感心をする。

   

「アッサラームってキレイな人ばかりだね。」
カルトを待っている間も辺りを見渡しながらアリスがつぶやいた。
「ほんとですねー。・・・でもなんだか皆さん、肌出しすぎじゃないですか?」
と同じように見渡しながらつぶやくイル。

確かにアリス達に比べるとアッサラームの人間は肌を露出している人間が多かった。
中には下着同然の格好をした人もいる。
それもアッサラームの気候のせいだろう。

「アッサラームではこれが普通なのでしょうかー。」
「そうなのかな。」

アリアハンに比べると断然暑いのだが、アリス達は暑くないのだろうか。

「きっと彼女達は踊り子だろ。ほらアッサラームはベリーダンスが有名だし。」
「ベリーダンスって今日イル達が見に行くやつですか?」
戻ったカルトにイルが聞くとカルトは「そうそう。」と頷いた。
そんなカルトに、
「美人はどうしたんだ?」
さっきまで美人と会話していたはずだが、めずらしく振られたのかと思ったが、
「あー、夜会う約束してきた。」
カルトはそう言ってニマリと笑った。

・・・こいつはホントに女目当てで旅をしているのか。

   

   

   

ベリーダンスの開演は夕方、日が沈む頃からだった。

   

「それまでどうしますか?」
今はまだ昼を少し回ったところだ。
宿を取り、宿屋の食堂で昼食を取ったが、まだまだ時間がある。
「イシスに行くのに砂漠を超えるんだよね?・・・必要なものとかないのかな?」
「水と食料は多めに買っておいた方がいいんじゃないか?」
砂漠に対して素人のオレ達が単独で砂漠に足を踏み込むのは自殺行為だ。
だからそのためにイシスとアッサラームを行き来しているキャラバンの護衛を引き受けたのだが、砂漠では予期せぬことが多いと聞く。
最悪、遭難する可能性もある。
「キャラバンの連中と一緒にイシスに行くとしても、自分達の分は用意しておくべきだろう。」
「それじゃ、商店街だね。」
早速行こうっと席を立つアリスに続いてイルとカルトも立ち上がった。

   

   

   

店を構えることができなかった商人達が道端で商売をするのは珍しくないが、アッサラームの露店の数はアリアハンの比ではなかった。
しかもアッサラームではアリアハンでは見かけない物がいろいろ売られている。

商店街に向かう途中、後を振り返るたびにアリスとイルは露店に目を奪われて立ち止まっていた。
そんな二人にカルトは「またか。」と苦笑を浮かべる。

二人の気が済むのを待っていると、1人の男が2人に近寄り、
「君、踊り子になる気はないかね?」
振り返ったアリスとイルは2人とも首を傾げ、
「えっと?」
「踊り子ですか?」
男はアリスを真っ直ぐ見つめ、
「君ならきっとすぐに一番人気になれる。」
何を根拠にそう言うのか・・・

「アリスちゃん、踊れる?」
「うんん。学校の授業でやった踊りぐらいしか・・・。」
聞くイルにアリスは不安そうにだけど真面目に答える。
・・・ってそうじゃないだろ。
「大丈夫。少し練習するだけですぐ踊れるようになる。そうしたら君も一躍スターだ。」
3人の会話に呆れつつカルトと共に近づく。
「悪いが、オレ達は旅の途中なんだ。」
「そうそ、うちのアリスちゃんを勝手にスカウトしないでくれる?」
「ラヴィちゃん?」
「カルトさんも。」
2人がオレとカルトに気付く。
「ん?君達は?」
「2人の連れだ。」
そう答えるオレの横でカルトが、
「おっさんこそ何者だ?」
そう聞くと男は「すまない」と前置きをして懐から手のひらサイズの紙を出して渡してきた。

紙を受け取る。
そこには、

「ベリーダンス対抗組織会長?」
紙と男を交互に見比べていると、男−−−会長は胸を張り、
「そう!わたしはベリーダンサーズ以上の踊り子を探しているのだ。」
「だからってなんでアリスを?」
踊り子を探しているのならばもっと踊り子らしい女に声をかければいいものを。
どう見てもアリスは踊り子に見えないだろう。

会長は拳を作りながら、
「彼女からはこの町の女の子達とは違ったオーラを感じた。故にきっと隠れた素質があると見抜いたのだ。」
「・・・・・・。」
この町とは違ったって、そもそもオレ達はアリアハンの人間だ。違って当然だろう。

「だから是非、踊り子に」とアリスの手を掴む会長から困惑しているアリスを引き離し、
「悪いが他を当たってくれ。さっきも言ったがオレ達は旅の途中なんだ。」
「あの、ごめんなさい。」
とアリスが会長に頭を下げる。
しかし会長は引き下がらず、
「そんなはずはない、君はきっと10年に1人の逸材だ。こんなチャンスは2度とないぞ。」

・・・チャンスもなにも、踊り子になるためにこの町に来たわけではないのだから、そんなことを言われてもどうしようもない。

2人の背を押してその場を離れようとしても会長は、
「お、踊り子が無理ならグッズの売り子でも・・・呼び子でも!君の容姿ならそれだけで看板娘に!」
その言葉に嘆息して立ち止まり会長を睨みつけ、
「アリスは見世物じゃない。居るだけでいいお飾り人形みたいに言うな。」
そしてイルもオレの横に並び、
「そうです。アリスちゃんは魔王を倒して世界を救う勇者なんですから!」

そんなことを大きな声で言うな。

「勇者!?まさかオルテガの?・・・なら旅が終わってからで構わないから・・・せめて契約書にサインだけでも・・・。」
目を見開いてなおも喰らいついてくる会長にイルは、
「アリスちゃんは既に予約済みです!」
イルはきっぱりそう言うと会長に背を向け「アリスちゃん行きましょう」とスタスタと歩いていった。
「イル、待って。・・・あの、ごめんなさい。あたしは踊り子になる気はありません。」
と会長にもう一度頭を下げるとアリスはイルを追いかけた。

   

2人の背中を見つめながら、
「おっさん、諦めた方が身のためだぞ。」
と会長にカルトが声をかけた。
何が身のためか知らないが・・・
「うううっ、せっかく見つけたと思った逸材・・・。」
会長はまだ諦めきれない様子だったのだが、パッと顔を上げるとカルトの手を掴み、
「君、ダンサーにならないか?」
「・・・へっ?」
「君が踊ればきっと女の子達がキャーキャー言うこと間違いない。」
・・・・・・をい。
「そして君の噂はたちまち世界中に広まり、世界中の女の子が君の虜に・・・。」
「世界中の女の子が虜・・・。」
会長の言葉に心惹かれるカルトにオレは呆れながら、
「馬鹿な事言っていないで行くぞ。」
とカルトの首根っこを掴んでアリス達を追いかける。
「今ならうちに所属している踊り子を紹介するから!」
そんな会長の言葉を聞き流しながら、オレはカルトを引きずってその場を後にした。

   

   

   

アリス達と合流するとイルから「ラヴィさんがはっきりしないから」とわけのわからないことを言われ、カルトは「せっかくのチャンスを・・・」とこぼしていた。
うなだれるカルトを見てアリスが、
「ラヴィちゃん、カルトくん・・・。」
どうしたの?と聞こうとしたのだろうがそれを遮り、
「気にするな、放っておけ。」
とアリスとイルを促がして商店街へと向かった。

   

あとがきまがい

前回から間が空きました。ごめんなさい。
しかも久しぶりなのにラヴがない・・・orz

そして無理やりお題に繋げた感じがなんとも・・・orz

次はラヴいといいな。
がむばれオレ。

2007.12.12

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