Dragon Quest 3 − Togethe −

― 調べる ―

   

『盗賊はいかなる時も気を緩めるな。常に周りの気を読め。』

   

それはオレに盗賊の技術を叩き込んだ師匠の言葉なのだが・・・。

旅をするということは安全な街で過ごすこととは違い、危険に身を置くということで、
モンスターの気配に気をつけろとか、
罠にいち早く気づけとか、
見つけ辛い宝を見逃すなとか、
そういう意味なのだが、

盗賊の駆け出しであるオレは、それらだけに気を向けることができず、
他の物まで過敏に感じていた。

   

   

その証拠にやたらと視線を感じる。
街中に危険があるはずがないというのに・・・。

   

今も背後から視線を感じているのだが・・・

・・・・・・。

バッ

「キャー」

後を振り返るとアリスとイルが慌てて何かを隠した。
「・・・何やってんだ?お前ら・・・」
半眼になりつつ聞くが二人は、
「うんん。なんでもないよ。ラヴィちゃん。」
「そうですよ。ラヴィさん。気にしないで下さい。」
「・・・・・・。」
とは言われても気にならないわけがない。

が、二人をじっと見ているとアリスがブンブンと首を横に振るから仕方なくオレは前を向いた。

   

・・・・・・。

が、やはり視線を感じる。
耳を澄ませば、何やら「危なかったー。」「もう少しで見つかるところでしたね。」などと言ってるのが聞こえる。

・・・・・・。

ほんとに何やってんだか・・・。

   

   

「ったく、ラヴィは相変わらず乙女心ってのをわかってないなー。」
とオレの肩に手をかけてそう言うのはカルトで、「何がだ?」と横目で返すと、
「女の子には秘密にしたいことの一つや二つあるってぇの。それを見ぬフリするのが男の優しさってもんだぜ」
「だけどな、こうもじろじろと見られて気にならないわけがないだろ。」
「はーっ。だからラヴィは乙女心をわかってないって言うんだよ。そんなんじゃモテないぜ。」
やれやれっといった感じにカルトは呆れていた。

カルトじゃあるまいし、別にモテたいと思わないんだが・・・。

だいたい、何故、好きでもないヤツからも好かれたいと思うんだ。
本当に好きなヤツからにだけ想われてればいいんじゃないのか?

カルトとの付き合いも長いが、未だにあいつの思考がわからん。

   

   

   

・・・まぁ、それはどうでもいいんだが。

昼食を取るために入った食堂。
てきとうにメニューを頼み運ばれてきた料理を見て、またアリスとイルが何やらこそこそとしていた。
カルトの言うことを間に受けるわけではないが、女同士の会話だから放っておこうと気にしないようにしたのだが・・・

ジーーーーー

運ばれてきた料理、なんかの魚のソテーに野菜ソースたっぷりのやつにフォークを入れた途端、アリスとイルから凝視された。

・・・・・・。

「なんだ?食いたいのか?」
と魚を刺したフォークを突き出すが二人は、
「うんん、なんでもないの。」
「そうですよ。なんでもないですよ。」
とあからさまに怪しい動きで自分の皿の料理を食べ始めた。

しばし、その様子を眺めてからオレも魚を口に放り込む。

が、

ジーーーーーー

再び、アリスとイルに凝視される。

・・・・・・。

こいつら、何してんのかしらないが、
探偵には向いてないな。

   

   

   

支払いを済ませ、店を出る時も二人は何やらこそこそしていた。

・・・ふーっ。

これがカルトのことならどうでもいいんだが、どう考えてもオレ絡みだろ。
気にするなと言われても限度がある。

スタスタスタ、バッ
「あーーー!」
気づかれないように歩みより、二人が手にしていた手帳を取り上げると二人の非難の声が響いた。
「ラヴィちゃん、ダメー。返してー。」
「ラヴィさん、見ちゃ駄目です。」
二人は手を伸ばして取り返そうとするが、二人の身長じゃどう頑張っても届くわけが無い。
「ったく、さっきから何やってるんだ。」
と言いながらちらっと手帳に目を向けると、

さっき食べた魚料理の名前。朝食に食べたもの。昨日の晩に食べたもの・・・って、オレが食べたやつばかりじゃないか。
しかも、料理の材料が事細々に書かれ、横に○か×がついていた。
何故かオレの行動までもが大まかだが書かれている。

・・・って、オレはモルモットか。

「これは一体なんなんだ?」
と二人に聞くが、
「うー、見ちゃ駄目なのにー。」
「ラヴィさん、ひどいです。」

・・・って、なんでオレが非難されるんだ?

「だから言っただろ、そんなんじゃモテないって。」
って、それは関係ないだろ。とカルトに突っ込みかけたが先に、
「そ、そんなことないよ!」
「そうですよ。ラヴィさんモテますよ。」

なんで二人が否定するんだ?

「まぢでー?こいつ、朴念仁なのにー?」
ポスッポスッとオレの頭を叩いてくるカルト。

なんでお前にそんなこと言われなければならん。

とカルトの手を払いのける。
「ラヴィちゃん、優しいもん。」
「ラヴィさん、見た目怖いですけどカッコイイですよ。」

見た目怖いって・・・

「・・・そんなことはどうでもいいんだが、これはなんなんだ?」
と再度手帳を突きつけると、アリスとイルは顔を見合わせ観念したように、
「・・・ラヴィちゃんの好き嫌い調べてたの。」

はっ?好き嫌いって・・・

「・・・なんでまた?」
食べ物のことだろうけど、幼なじみのアリスが知らないはずがない。
「えっとね、こっちの料理ってアリアハンじゃ見た事ないものばっかりでしょ。味付けだって全然違うし、
この前ね、お店で出された料理にラヴィちゃんが嫌いなキュウリ入ってたのにラヴィちゃん食べてたから嫌いじゃなくなったのかなって思ったんだけど、サラダのキュウリは残してたからどっちなんだろうって。
これから野宿が増えると思うし、そうしたら自分達でご飯作らなきゃ駄目でしょ。
・・・嫌いなもの出したくないなーってイルと話してたの。」

・・・キュウリ、入ってたのか?・・・気づかなかった。

って、そうじゃなく。
「あのですね、カルトさんに聞いたらピーマンって答えてくれたんですけど、ラヴィさんに聞いても正直に答えてくれるとは思わなかったから、自分達で調べようと・・・」

ピーマンって子どもか、あいつは。

・・・それでこそこそしていたのか。
理由はわかったんだが、調べる必要はあったのか?
それに・・・、オレは二人の頭の上に手を置き、
「気にしなくていい。二人が作った物なら食べるから。カルトにも残させないから思う存分ピーマンを使ってくれ。」
オレの言葉にカルトが不満そうに声を上げるが無視。
「えっ、でも・・・。」
と渋るアリスにオレは、
「野宿はただでさえ体力を消耗するんだ。料理にまで気を張らなくていい。それで体調を崩したら元も子もない。」

野宿は常に危険が隣り合わせだ。料理に集中してほかを疎かにするわけにはいかない。身の安全と料理、どちらが重要かを考えれば一目瞭然だ。
アリスは他のことを考えず、まっすぐ歩けばいい。

そう思い口にしたのだが、二人は恨めしげにオレを見ていた。
「うん、わかった。ごめんなさい。」
と口では言っていてもその顔は不満そうだ。
アリスはオレから離れるとイルに「行こっ。」と先に歩き出した。

何か悪かったか?と思うオレの肩に手を置いたカルトが、
「だからラヴィは乙女心わかってないって言ったんだ。」

今のカルトにはわかったのか?

   

と聞こうにもカルトはアリスとイルの後を追いかけ二人の肩に腕を回していた。
「ほらほら、あんな朴念仁放って買出しに行こうぜ。」
「カルトくん・・・。・・・今日の夕飯はピーマンの肉詰めね。」
「げっ!アリスちゃん、そんな殺生なー。」
「カルトさん、今はタイミング悪いですよ。」
「・・・そう、みたいだね。」

そんな会話を広げる3人をオレは追いかけた。

乙女心か・・・・・・。

アリスの背中を見つめ考えたが、さっぱりわからなかった。

   

あとがきまがい

調べられてたのはラヴィちゃんですw

ラヴィちゃん、乙女心わかってません。
そりゃ、アリスちゃんも不機嫌になりますよー(ケラケラケラ
当たられるのはカルトくんですが(笑

難産だったけどよしとしよう。
アリス、かわいく書けてるといいな(マテ

書いてて思ったんだけど、月に一回だと、お題消化しきるのに8年以上かかるね。
長いなー、やばいなー、ネタおもいつかねー、それまで続くのか?・・・orz
ってまぁ、2ndは息抜きというか気分転換に書き始めたやつだし、1stがいつ終われるか全然わからないからね〜
1年たってまだイシスって・・・orz

こっちの4人は気長に書いていきますか。

2007.05.31

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